Enchanted Traveller
邂逅

 蜥蜴も蟇も蝙蝠も

どれも今夜はないけれど

ぐつぐつ夢を見てはいる

(キレイハキタナイ キタナイハキレイ)

こんな寝言を吐いては吸って

ぼくはぐつぐつ夢を煮ている

唾液と爪と汗脂

アレも少々混ぜたはず

だが不覚にも

いつしか寝入っているのだった

 (キレイハキタナイ)

 (キタナイハキレイ)

こんな真のことが

きみに知れたらどうしよう

深く深くへ

きみは逃れようとしているのに

それでもけれどもぐつぐつと

煮えているのだ気づかぬまにも

たといふたりが死んだふりしていても

たしかにきみはぼくに似て

だから煮ているのだ恥ずかしさも企みも捨て

(シンジツオマエガホシイナラ

キタナイモノヲダクガイイ

キレイナモノヲダクガイイ)

遠くのほうからあざけるように

遠くのほうへいざなうように

醜い老婆の声が

低くかすれて聞こえてくるが


すでに

夢のうつつに知っている

きみの頭上にぽっかりと

赤く大きな月があるのを

censu:

Sasha Kurmaz

(水の苦痛に限りはない)
ーーガストン・バシュラール


水色の指を失い
水色の花を失い
水色の苦しみさえ忘れてしまった

あの頃
花びらに触れれば指先からみるみる染まっていったのに
苦しみが
幸福の予兆であると疑いもしなかったのに

もう
きのうを語ることはできないよ
きのうを見ることも

指が流れていく
花が流れていく
苦しみが流れていく
水が なにも言わずに流れていく

そうして明日が
やがて滝のような激しさで落ちていくのだ!
その光景をぼくは
茫然と見つめている

だが
(落ちていくのはぼくではないのか)
きのうのぼくの
ぼく自身ではないのか!?

水はただ
なにも言わずに流れていく

こんな真夜中に
窓をあけたまま
寝ていたら
夜が入ってくる
じゃないか
つげ義春/夜が掴む (via amp33, heimin)

shunta:

映画『サウダーヂ』 予告編 (by kuzoku18)